隣地を買うべきか?

郵送で土地の資料が届きました。
空地となっている隣地の所有者に依頼された不動産会社からの郵便物で、その隣地を買ってほしいという売り込みでした。

この記事を書いている段階では、ウチの土地もまだ空地ですし、違うところに住んでいますので、登記簿で所有者を調べたようです。

隣地の状況

約78坪の空地ですが、柵で囲われておらず、入り放題です。
子供の遊び場になっていたり、ご近所様の散歩コースになっていたりして、みんなの共有地みたいに扱われています。

中には、この土地とウチの土地との境界ライン付近に小さな木を植えて、育てている子供もいます。
ウチの土地を整備していた業者さんが、その子供の親から「この木はウチの子が大切に育てているので、踏んだり折ったりしないように気を付けてください」と言われたそうです。

他人の土地に木を植えてしまった子供は微笑ましくもありますが、他人の土地であることを知っている親がその言い分は無いだろうと思いました。

そんな感じでやりたい放題の状態ですから、ウチとしては、誰かこの土地に家でも建ててくれないかなあと思っていたところでした。

この隣地の良い点

閑静な環境

いわゆる「どん突き」の土地であり、一種低層でもあるので、とても静かな環境です。

眺望最高(条件付き)

ウチの土地が高台の1列目で、隣地は2列目です。
隣地はウチの土地よりも1.5mくらい高い場所にあるため、3階建を建てるか、屋上を作るかをすれば、その3階部分や屋上からの見晴らしはとても良いです。
ただし、一種低層の土地なので、3階建を建てる場合は近隣説明が必要です。

この隣地の悪い点

接道義務を果たしていない

建築基準法上の道路が敷地に2m以上接していなければ、法律上、建物が建てられません。
この土地は1mくらいしか接道していないため、今のままでは建物が立ちません。

とはいえ、1m部分から先はガードレールが設置されていて、その先は下り斜面の草むらです。
なので、ガードレールを外して、下り斜面を埋めて舗装工事を行えば、道を伸ばすことができます。

ただし、これを勝手にやるわけにはいきませんので、市と折衝することが必要です。
そのうえで、その工事費用を自己負担できるのであれば、接道させることは可能かもしれません。

整備に膨大な費用が必要

接道させたとしても、この土地は道路から大きく下がっています。
住友不動産の担当営業マンにお聞きしたところ、下がっている部分に擁壁を建てないといけない状況だろうとのことでした。
これは、売り込みに来た不動産業者も認めているところです。

擁壁を建てるとなると、膨大な費用が掛かります。
最低でも1000万円以上はかかるだろうとのことでした。

大きめの車を入れにくい

この土地にたどり着くまでの道がとても細いため、普通車でも大きめの車だと入りにくい立地です。

ウチの土地とは全然違う

この土地は、隣地といえども、ウチの土地とは条件が全然違います。
重要な相違点は以下のとおりです。

条件項目 隣地 ウチの土地
接道 接道していない 接道している
土地にたどり着くまでの道路 細くて車を通しにくいうえ 古い道路でやや荒れ気味 6m道路で通りやすく 約5年前に舗装されたばかりのきれいな道路
駅までの徒歩 A駅まで徒歩16分 A駅より発展しているB駅まで徒歩10分
眺望 3階建または屋上を作ればその部分は眺望最高 1階部分からでも眺望最高

ウチが買えば化ける土地

ウチの土地と比べると、この隣地は何1つ良い条件が無く、デメリットだらけです。
接道していないというだけで、土地の価値は著しく落ちますからね。

ところが、ウチがこの隣地を買って土地をつなげてしまえば、そのデメリットをすべて消すことができます。
接道もできますし、擁壁を建てなくても使えますし、広い道路から入れますし、駅までも近くなります。
いいことづくめの土地に化けるわけです。
なので、不動産会社もまずはウチに売り込んできたわけですね。

ただ、ウチが買わなければ、上記のデメリットを乗り越えないといけない土地です。
売却まで難航するでしょうね。

「隣の土地は借金してでも買え」と言いますが

結論としては、金額が折り合わずに買いませんでした。
不動産会社は相場の半値で打診してきましたが、ウチは相場の1/10で回答しましたので、まとまるはずもありません。

相場の1/10で回答した理由

78坪の土地があれば、将来的にはアパートでも建てて、不動産投資をやってみたい気持ちもあります。
しかし、ウチの接道を利用した形でアパートを建てることは避けたいと思っていました。

なぜなら、ウチの土地もどん突きで閑静な環境であり、これを守りたいと思っているからです。
ウチの接道を利用して隣地にアパートを建てたとしたら、ウチの前をアパートの住人や訪問者が出入りすることになりますので、閑静な環境が悪化する可能性が高いです。
これがイヤでしたね。

なので、上記の1mの道路を伸ばして接道させることしか考えていませんでしたが、その場合は、相場の1/10以上は出したくないと思いました。
接道させるための市との折衝がまとまるとも限りませんし、擁壁にいくらかかるのかも怖いので、リスクが高い土地でした。

それに、今は資金面に余裕もなく、無理して買ってもしばらくは空地になってしまいます。
空地にしていても、土地の管理(柵の設置など)や固定資産税のお金もかかります。

ということで、ウチにとっての隣地の価値は、相場の1/10でした。